どのくらいの費用がかかるのか


介護にかかる費用

日本には介護保険制度があり、自己負担額は所得に応じて1割~3割までと決まっています。全体の9割以上は1割負担世帯なので、ほとんどの人が介護サービスを介護保険でまかなっていると考えていいでしょう。ですが、いくら使えるのかは介護度によって限度額が異なります。生命保険文化センターが行った「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」によると、個人差はありますが、平均にすると月々の介護費用の額は約7.8万円でした。
ただし、先述したように介護度によって支払限度額は異なるため、限度額以上の介護サービスを受ける場合は全額自己負担となり、その分費用も増えていきます。また、介護の程度によっては住宅のリフォームや介護用ベッドを準備しなければなりません。そうなると、介護費用とは別に初期費用も必要になります。

年金受給額はいくら?

このように、要介護状態になると初期費用や月々の介護費用が必要となります。初期費用には貯金を充て、月々の介護費用は年金でまかなう、という人も多いと思います。ですが、すべて年金でまかなうことはできるのでしょうか。
国が定めた公的年金には20歳以上の人が加入する国民年金と会社員が加入する厚生年金があります。65歳以上の人が老後に受け取る老齢年期は加入した年金の種類によって受け取り金額が違います。国民年金の人は老齢基礎年金を、厚生年金の人は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取りますが、老齢基礎年金の平均受給月額は5万6,000円です。会社員はそれに老齢厚生年金が上乗せされますが、勤続年数や収入によって金額が変わってきます。
受給する年金の金額は毎年6月に届く年金振込通知書で確認できます。年金振込通知書には1回に支払われる年金額と介護保険料や社会保険料、住民税や所得税といった天引きされる金額、実際に振り込まれる金額が記載されています。この金額をもとにして、自己負担額分がなるべく年金月額に応じた費用内におさまるように工夫していかなければなりません。

要介護状態になるとさらに高額に

要介護期間の平均は4年11ヵ月です。毎月かかる介護費用は1人あたり平均7.8万円なので、単純に計算してもおよそ550万円の費用が必要となります。あくまでデータ上の単純計算ですが、介護資金として550万円を用意しておけばある程度安心できるでしょう。
ですが、介護資金とは別に老後資金も必要ですし、老人ホームへの入居を考えるとなるとさらに費用がかかるため、金銭的な負担が大きくなることは明白です。

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