介護の人材育成と処遇改善
介護人材が不足している理由
介護人材不足が問題となっていますが、なぜそれほどまでに人手が足りていないのでしょうか。それは日本が少子高齢化であることが関係しています、医療の発展もあり、平均寿命は年々延びています。男性よりも女性の方が寿命が長いといわれていますが、具体的な数字で見てみると1950年には61.5歳だった女性の平均寿命は、2016年には87.14歳と大幅に延びています。
しかし、その一方で出生数は下降の一途をたどっています。第一次ベビーブームといわれている1948年前後は250万人を超える出生数でしたが、2016年の出生数は約98万人と半数以下になっています。
介護職=ネガティブなイメージ
そもそも介護職に就く人が少ない、という問題もあります。介護の仕事には「キツイ」「汚い」「危険」「給料が安い」などのネガティブなイメージが根付いています。もちろん、それだけではなくやりがいの多い魅力的な仕事ですが、どうしてもポジティブなイメージよりもネガティブなイメージの方が先行しているため、就職を希望する人が少ないのが現状です。
人材を確保する対策
このような背景を受けて国も介護人材を確保する施策を講じています。そのひとつが「介護職員処遇改善加算」です。これは算定した金額を職員の処遇改善や労働環境改善に充てる、というものです。2017年時点で介護職員処遇改善加算を算定している介護施設や事業所は90%以上なので、介護業界全体で処遇改善がすすんでいるといえるでしょう。また、消費税増税に伴い、「介護職員等特定処遇改善加算」も創設されているため、処遇改善は今後も続いていくことが予測できます。
イメージの改善
介護職に対するネガティブなイメージを払拭するように、厚生労働省では文部科学省と連携して小中高生に介護の魅力を伝える取り組みを行っています。即戦力となる30代や40代ではなく若年層に介護に対する理解をすすめることで長期的な介護人材確保の対策を講じているのです。
離職防止と定着率の向上
介護人材不足を補うには入職者を増やすことはもちろんですが、現在働いている職員の定着率を向上させることも大切です。介護ロボットを導入したり、ペーパーレス化をすすめたりと、職員の負担を減らして業務を効率化することで離職を防いでいます。
介護職は安定した職種
介護職はネガティブなイメージが強いこともあり、将来に対しても不安を抱えている人が少なくありません。ですが、高齢者の増加に伴って介護人材の需要も高まっていきます。今後も高齢者の増加が予想されているため、介護職は雇用が安定した職種だといえるでしょう。また、国を挙げて介護職の処遇改善に取り組んでいるため、賃金や待遇も今後ますます良くなっていくことが期待されています。