望んでいる介護のかたちを共有する


元気なうちに話し合っておく

介護は突然、身近な問題となってふりかかってきます。何も準備をせずに介護に突入してしまうと介護ストレスを抱えたり、負担を背負い込み過ぎて疲弊する可能性があります。そうならないためにも、まずは親が元気なうちに介護についてしっかりと話し合っておきましょう。お互いの想いを確認しないままだと、本人は望んでいる介護が受けられず、介護者も「本当にこれでよかったのか」と介護を終えた後に後悔してしまい、双方にストレスがかかります。
離れて暮らしていても会話をすることはできます。意識して話す機会を多く持つようにしましょう。

「誰に介護をしてほしいのか」

介護について話し合うときはまず、「誰に介護をしてほしいのか」を聞きましょう。「自分の親は自分で介護したい」と思っている人も多いかもしれませんが、親もそうだとは限りません。むしろ、「子どもには迷惑をかけたくない」との想いから、子どもではなく介護サービスを利用したいと思っている可能性もあります。良かれと思っての行動でも本人の希望とずれているとストレスになってしまうので気をつけましょう。
介護が必要になったとき、「誰にみてもらいたいのか」「介護施設を利用したいと考えているのか」の2点をきちんと把握しておけば、介護の方針を家族で共有できるのでいざというときに慌てずにすみます。

「どこで過ごしたいのか」

どんな場所で過ごしたいのかも話し合っておきたいポイントです。在宅介護が増えている今、住み慣れた地域での介護を希望する人も少なくありません。介護度によって必要になる手助けの程度は違います。少しの手助けで自立した生活が送れる状態なら自宅での介護でも大丈夫ですが、寝たきりなど介護度が重度の場合は施設に入居した方が適切な介護を受けられる場合もあります。それぞれの段階において、自宅で過ごしたいのか、それとも施設に入居するのかを本人に確認しておきましょう。

「延命治療はどうするのか」

親の介護を経験した人の多くが後悔しているポイントが「最期のときの延命治療」です。親の最期のときが目の前に迫ったとき、大きな不安に襲われる人も少なくありません。そのような中で「延命」という大きな決断を迫られたとき、1人ではどう判断すればいいのか迷ってしまうのが当たり前です。「本当にそれでよかったのか」と看取った後に後悔している人も少なくありません。
親が元気なうちに「食事がとれなくなったら」「痛みがひどいときは」「呼吸が苦しくなったときは」と場面ごとに具体的な意向を聞いておきましょう。いざそうなったとき、自信を持って決断できるようになります。

NEWS

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    厚生労働省の調査によって、要介護と認定されるのは75歳以上の人に多いことがわかりました。親の年齢が75歳前後の人はいつ介護が始まってもおかしくないと考えておきしょう。段差につまずいてよろけたり、電気代やガス代の請求がいつもと違ったりしていたら介護が必要な状態になっている可能性があります。様子を細かく確認していきましょう。

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    住み慣れた自宅で介護を希望する人が増えていますが、介護度によって必要となる手助けの程度は違います。自立した生活が送れる状態なら自宅での介護もそれほど難しくありませんが、寝たきりなどの重度の場合は家族よりも介護に詳しい職員がいる介護施設の方がいい場合もあります。本人の希望を優先したいところですが、段階によっては難しくなることも事前に話し合っておきましょう。

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