仕事と介護の両立を助ける制度


家族をサポートする国の支援制度

家族の介護をしている人、つまり介護者自身をサポートする法律もあります。それが「育児・介護休業法」です。この育児・介護休業法は育児または家族の介護を行っている人を支援し、育児や介護で退職することなく雇用が継続するように図ったり、育児や介護で退職した人の再就職の促進を図ったりするものです。また、育児や介護と仕事の両立ができるようにサポートしながら日本の経済や社会の発展の手助けになることも目的としています。この法律の具体的な内容について詳しく見ていきましょう。

「介護休業」

要介護状態の家族1人につき3回まで、通算93日まで介護休業を取得できる制度です。ただし、事前に申し出が必要です。企業によっては申し出の際に要介護状態を証明する書類の提出を求められる場合もあります。

「介護休暇」

介護休業と間違われやすいので、違いをしっかりと確認しておきましょう。
介護休暇とは家族の介護をする従業員に対して与えられる休暇のことです。一般的な休暇の場合は有給休暇を申請しますが、介護を伴う休暇の申し出には介護休暇を申請することになります。要介護者1人につき年5回まで利用できるので、要介護者が2人の場合は年10日利用できることになります。介護休暇は1日単位または半日単位で利用できるので、身体介護などの直接的な介護だけではなく、必要書類の提出などにも利用できます。

「所定労働時間の短縮措置」

これは時短勤務といわれる制度のことです。かつては各企業の努力義務とされていました。しかし、法改正によって短時間勤務やフレックスタイム制度、時差出勤制度、介護サービス費用助成のいずれかの措置を講ずることが義務づけられたのです。これらは介護休業とは別の措置です。事業主はどれか1つ以上を選び、利用開始から3年の間に2回以上利用できるようにしなければなりません。

「所定外労働の制限」

1回の請求につき、1ヵ月以上1年以内の期間で所定外労働、いわゆる残業の免除を請求できる制度です。請求回数に制限はなく、介護が終了するまで利用できます。

就業規則になくても利用できる

上記に紹介した制度以外にも、「深夜業の制限」や「転勤に対する配慮」「時間外労働」「介護休業等に関するハラスメント防止措置」「不利益取扱いの禁止」「介護休業給付金」などもありますが、これらの制度は就業規則に明記されていなくても申し出れば利用することができます。ただし、勤続年数が1年未満など、勤務先の労使協定の定めによっては取得できない場合もあります。

NEWS

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    医療の進歩により平均寿命は年々延びています。しかしその一方で、出生数は下降の一途をたどっているため、働いている世代よりも介護を必要とする高齢者の方が多い状況です。現在、介護人材不足が問題となっていますが、少しでも多くの人材を確保しようと国もさまざまな対策を講じています。ここでは国が行っているイメージ改善と処遇改善について詳しく紹介します。